襟元のダンディズム。

 

完璧な結び目と美しさの検証。

Vゾーンを飾るネクタイのお洒落は、男の特権といっても過言ではない。では、ネクタイはいつの時代から登場したのだろう。実のところ,その起源は定かではない。一説には、クロアチアの兵士が戦場に赴く時に恋人や妻たちが無事の帰還を祈って、スカートのインナーに着用したアンダーウエアの裾を切り、首に巻いた事に由来すると言われる。その布切れがネクタイの原型というわけだ。
また、中世ヨーロッパで着用されたブラウスの台襟に縫い合わさった共布のスカーフやアスコット状のリボンが独立したものという説もある。ネック部分を飾るアイテムをネックウエアというが、ネクタイもそのひとつ。つまり、ネックウエアという視点で見れば、どちらの説も一理あると言わねばならない。ちなみに、現在のネクタイの原型に最も近い物といえば、燕尾服を着用する際にウイングカラーのシャツに結ぶアスコットタイに良く似た幅広の短いタイだ。
そんなネクタイがポピュラーになっていくのは1900年代に入ってから。この頃、主流だったアスコット型に加え、ボウタイと細く短いスタイルのネクタイが登場する。そして1920年代には現在のネクタイの基本である「フォア・イン・ハンド」が定着していく。「フォア・イン・ハンド」とは、結び目の下から大検先まで手のひら4つ分の長さということを意味している。
ところで、ネクタイに使われる素材は、シルク、ウール、ニットなどが一般的。なかでも、圧倒的な人気を誇るのがシルクで、7本のシルクの糸を撚り合わせて織られものが最高とされる。裁断は45度のバイアス取りが基本で、重要なポイントとなる芯地はソフトで両面起毛されたものが使われる。ただし、起毛されていない良質の物も多く見受けられることも知っておきたい。こうしたディテールへのこだわりが見事に調和して、はじめてネクタイの完璧な結び目と美しさが生まれてくるのだ。